パソコンを処分したい。
でも、どうやって手放せばいいのか分からない。
そう思って調べ始めると、自治体の回収ボックス、メーカー回収、無料回収サービス、家電量販店⋯。
方法がいくつも出てきて、かえって迷ってしまいます。
ただ、その前にひとつだけ確かめてほしいことがあります。
そのパソコン、本当に売れないでしょうか。
私は買取店の宅配買取部門で5年以上、査定を担当していました。
実際に処理していたのは月に500件以上(パソコンだけでなく、ゲーム機や家電も含めた全品目の合計です)。
そのなかで、こういうお客様は珍しくありませんでした。
「もう古いから、いらないんです」と持ち込まれる。
ところが査定してみると、普通に金額がつく。
そして驚かれる。
売れないと判断していたのは、査定した側ではなく、持ち主のほうだった、ということです。
この記事では、パソコンを処分する方法6つを比較したうえで、どの順番で試すべきかをお話しします。
順番を間違えると、値が付くはずのパソコンを無料で手放すことになります。
まず前提:パソコンはゴミとして捨てられません

方法を比べる前に、押さえておきたい前提が1つあります。
家庭用のパソコンは資源有効利用促進法に基づき、メーカーによる自主回収・再資源化が義務づけられています。
燃えないゴミとして出すことはできません。
つまり「捨てる」という選択肢は最初から無く、どこに引き渡すかを選ぶ話になります。
パソコンには、引き取りの制度が2本あります
ここが分かりにくいところなのですが、パソコンには根拠の違う2つの制度があり、どちらも使えます。
| 制度 | 引き取る側 | 主な窓口 |
|---|---|---|
| 資源有効利用促進法 | メーカー | メーカーの回収窓口(ゆうパック) |
| 小型家電リサイクル法 | 認定事業者・市区町村 | 自治体の回収ボックス、一部の家電量販店、宅配回収 |
経済産業省も、家庭系パソコンについては小型家電リサイクル法に基づく回収システムを利用することもできる、と案内しています。
参考:経済産業省「パソコンのリサイクル(資源有効利用促進法)」
メーカー回収は「PCリサイクルマーク」の有無で料金が変わります
パソコン3R推進協会(PC3R)によると、PCリサイクルマークが付いているパソコンはメーカーが無償で回収します。
このマークは、2003年(平成15年)10月以降に販売された会員メーカーの家庭向けパソコンに付けられているものです。
マークが付いていない場合は、回収再資源化料金がかかります。
パソコンを手放す方法は6つ

| 方法 | 費用 | 手間 | データの扱い | 値が付く可能性 |
|---|---|---|---|---|
| ① 買取業者に売る | 無料のことが多い | 箱に詰めて送る | 業者による | あり |
| ② フリマ・オークション | 手数料・送料 | 出品〜発送まで自分 | すべて自己責任 | あり |
| ③ 無料回収サービス | 無料〜条件により有料 | 宅配・持ち込み | 業者による | なし |
| ④ メーカー回収 | マークの有無による | 申込手続きが必要 | 事前に自分で消去 | なし |
| ⑤ 自治体の回収ボックス | 無料のことが多い | 設置場所まで運ぶ | 事前に自分で消去 | なし |
| ⑥ 家電量販店・販売店 | 店舗による | 持ち込み | 店舗による | なし |
※費用や条件は業者・店舗・自治体によって異なります。申し込む前に、それぞれの案内でご確認ください。
上の2つと、下の4つでは性格がまったく違います。
上は「売る」、下は「引き渡す」。
値が付く可能性があるのは上の2つだけです。
① 買取業者に売る
パソコンを箱に詰めて送るだけ、というところが多く、手間は最も少ない部類です。
査定額に納得できなければキャンセルもできます。
ただし返送料を誰が負担するかは業者によって分かれます。
ここは申し込む前に確認しておきたいところです。
② フリマ・オークションで売る
手取りだけで見れば、いちばん高くなる可能性があります。
一方で出品・やり取り・梱包発送をすべて自分で行うことになり、データの扱いも完全に自己責任です。
手取りと手間をどう天秤にかけるかは、相場の記事で具体的に計算しています。
③ 無料回収サービス
宅配や持ち込みで、無料で引き取ってもらえるサービスです。
手軽さでは有力な選択肢になります。
ただしなぜ無料なのかは知っておいたほうがいいです。
これは記事の後半で詳しくお話しします。
④ メーカー回収
前述のとおり、PCリサイクルマークが付いていればメーカーが無償で回収します。
申し込み先はメーカーごとに分かれていて、パソコン3R推進協会のサイトにメーカー窓口の一覧があります。
回収は日本郵便のゆうパックで行われるため、全国どこからでも利用できます。
自分のパソコンのメーカーにしか出せない点と、本体とディスプレイのメーカーが違う場合はそれぞれに申し込む必要がある点が、手間として挙がりがちです。
⑤ 自治体の回収ボックス
小型家電リサイクル法に基づく回収です。
ただし回収ボックスを設置していない自治体や、パソコンを回収対象にしていない自治体もあります。
自分の地域がどうなっているかは、環境省の「小型家電リサイクル・回収ポータルサイト」で調べられます。
また、データは自分で消してから入れる必要があります。
⑥ 家電量販店・パソコン販売店
こちらも小型家電リサイクル法に基づく回収です。
店舗に持ち込んで引き取ってもらいます。
ただし費用や受付条件は店舗によって異なり、地域によっては受け付けていない場合もあります(たとえばヤマダデンキは、沖縄県の店舗では受付をしていません)。
※具体的な金額は変動するため、この記事では挙げません。利用を考えている店舗の案内で直接ご確認ください。
【査定側から】「もう売れない」と決めているのは、査定した人ではありません

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいことです。
宅配買取の現場にいると、「古くて売れないと思うので、処分でお願いします」というご依頼が届きます。
そういうときは、処分費がかかることを先にお伝えしてから査定に入っていました。
後から「お金がかかるとは思わなかった」となるのを避けるためです。
(※これは私がいた店での運用です。事前に伝えるかどうかは業者によって違います。)
そして実際に査定してみると、普通に金額がつくことがあります。
そのたびにお客様は驚かれていました。
もうひとつ、印象に残っていることがあります。
処分を希望される方は、「売れないだろうから、引き取ってもらえればそれでいい」と考えている方が多かった、ということです。
つまり、多くの場合査定にすら出されていないわけです。
「処分で」と届いたものの、8割ほどは買取になっていました
これは正確に集計した数字ではなく、査定していた人間としての肌感ですが ⋯「処分でお願いします」と届いたパソコンのうち、8割ほどは買取になっていたと記憶しています。
処分になったのは、残りのほうです。
完全に壊れて動かないもの、モニターが割れて映らないノートパソコン。
本当にどうにもできないものが処分に回っていました。
(※私がいた店での話です。何を買い取れるかは業者によって違いますし、時期による相場の変動もあります。)
裏を返せば、持ち主が「処分で」と判断したもののうち、8割は判断が外れていたということになります。
古くても、起動していれば値は付きやすい
では何が分かれ目なのかというと、年式ではなく、起動するかどうかでした。
古いパソコンでも、電源が入って動くのであれば値が付きやすい。
逆に、新しくても起動しないとなると一気に厳しくなります。
「もう何年も前のものだから」という理由だけで処分を選ぶのは、現場の判断基準とはずれている、ということです。
古いから、ではなく「動くかどうか」で見ていました。
処分を決める前に、いちど査定に出してみてください。
査定は無料で、値が付かなければそのまま処分に回せます。
無料回収が「無料」でいられる理由


無料で引き取ってもらえると聞くと、「価値がないから無料なんだろう」と思うかもしれません。
実際は逆で、引き取る側に出口があるから無料にできる、というのが実態に近いです。
制度として、そう設計されています
環境省と経済産業省が出している回収のガイドラインには、リサイクルするべき品目を国が指定する際の考え方が書かれています。
消費者や市町村が処理料金を払わずに済む範囲で品目を選ぶ、という方針です。
その判断基準として脚注に挙げられているのが、認定事業者の経費(運搬費・中間処理費・システム管理費など)と、有用資源の売却益が釣り合う範囲という試算でした。
そして、パソコン(モニターを含む)はこの品目に指定されています。
参考:環境省・経済産業省「使用済小型電子機器等の回収に係るガイドライン」(Ver.1.2)
もうひとつの出口は、そのまま売ること
環境省の資料には、認定事業者が回収したもののうち再使用できる機器はリユースできる(認定された計画の範囲内で、実績の報告が必要)と記載されています。
つまり無料回収には出口が2つあります。
資源として金属を取り出すルートと、まだ使えるものをそのまま売るルートです。
【査定側から】処分費を取る店には、その出口がありません
私がいた店は、買い取ったパソコンをきれいにして、パソコンとしてそのまま売る店でした。
金属を取り出して売るようなことはしていません。
だから、パソコンとして売れないものが来ると、出口がなくなります。
どうにもならないものが処分になり、そこで処分費がかかる、という順番でした。
処分費はおよそ3,000円ほどです。
逆に、値が付くものであれば処分費は取りません。普通に買取価格をつけていました。
考えてみれば当然で、価値のあるものを処分費をいただいて引き取り、それを売っていたとしたら大問題です。
処分費が発生するのは、売る先がないときだけです。
制度上も「査定を受けたかどうか」が分かれ目です
同じガイドラインには、リユースと廃棄物の線引きが書かれています。
中古品として販売するために引き取る場合は、査定をして買取価格を決めることになるため、有価物の取引としてこの法律の対象外になります。
一方、査定を行わずに引き渡された場合は、一度使用が終了したものとみなされ、「使用済み」として制度の対象に入ります。
査定を受けたかどうかで、扱いが変わるわけです。
現場の実感としてお伝えしてきたことが、制度の側でも同じ形になっている、ということになります。
注意:「無料回収」を名乗る業者には2種類あります
同じガイドラインには、違法な業者に引き渡されて国内外で不適切に処理された事例があったこと、そのため消費者が見分けられるよう小型家電認定事業者マーク・小型家電回収市町村マークを用意した経緯が書かれています。
だから、順番はこうなります


やることは2ステップだけです。
- まず、売れるかどうかを確かめる(無料査定に出す)
- 値が付かなければ、処分に回す
この順番なら、失うものがありません。
査定額に納得できなければキャンセルできますし、値が付かなかったと分かってから処分を選んでも遅くはありません。
逆順にすると取り返しがつきません。
先に無料回収へ出してしまうと、それが売れるパソコンだったのかどうか、もう分からないからです。
状況別の進み方
- 動かない・壊れている/業者選びで結果が変わります
- 買い替えと同時に手放したい/下取りという選択肢もあります
- データが心配/何をどこまで消すべきか
- 初期化のやり方が分からない/画像つきの手順








よくある質問
まとめ:捨てる前に、一度査定に出す
パソコンを手放す方法は6つありますが、順番が決まっています。
先に「売れるかどうか」を確かめる。
値が付かなければ処分に回す。
それだけです。
売れないと決めているのは、査定した人ではなく持ち主のほうだった⋯。
現場で何度も見てきたのは、そういう場面でした。
捨てる前に、一度査定に出してみてください。





